読書百遍

これまでの「読んだ本の内容を覚えていない」という、悲しい読書からの脱却を目指し、「熟読」「再読」「アウトプット」の読書を目指しています。 

 池上彰『この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」』 今を知るために歴史を学ぶ

 
池上彰『この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」』

 

学校で学ぶ歴史の授業は、たいてい第2次世界大戦までで、

最後は時間切れでさらっと流して終わりである。

 

しかし、現代の日本が抱える問題を理解するためには、

その歴史や背景を知らなければ、本当の理解につながらない。

本書では池上彰氏が、日本の戦後史を分かりやすく解説してくれる。

 

池上彰氏が教授を務める東工大の講義がもとになっているため読みやすく

当時のエピソードもふんだんに盛り込まれているので、興味深く読めた。

 

まず思い知らされたのが、自分のいかに歴史を知らないかということ。

55年体制日米安保、日韓問題、日教組学生運動など、

今までなんとなくの知識しかなかったが、歴史を知ることで

現在のニュースもより理解することができると思う。

 

私が特に興味を持ったのは闘争の歴史である。

外国での民主化運動やデモの様子をニュースで目にすることはあるが、

かつては日本でも同じようなことが起こっていた。

 

まずは安保反対闘争である。

1960年岸信介首相は、

不平等だった旧安保条約を見直した新安保条約に調印すると、

国会に警官隊を導入し、社会党共産党の反対を押し切って、

安保条約の批准を強行採決

これをきっかけに大きな反対運動が広がった。

闘争の中心になったのが大学生たちで、国会に突入し警察官と衝突。

多数のけが人と死者も出ている。

 

そして、私は知らなかったのだが「ハガチ―事件」というものが起こる。

訪日の予定だったアイゼンハワー米大統領にさきがけて、

大統領報道担当補佐官ハガティ氏が羽田空港に到着すると、

安保反対のデモ隊に囲まれ米軍の海兵隊のヘリで救出される。

今想像すると、ものすごい事件である。

当時の政府関係者は生きた心地がしなかったであろう。

 

その年には三池争議と呼ばれる労働者の闘争もあるが、

1968年からはベトナム戦争への嫌悪感から再び学生運動が盛り上がり、

全国の大学でのストライキ、東大安田講堂での攻防戦。

さらに一部が過激化し、「よど号」ハイジャック事件や、

あさま山荘事件へとつながる。

これらは映画化されたり小説でも語られているが、

事実とは思えないようなドラマを持ち、本書を読みながらもハラハラさせられた。

 

私が想像するのは、当時の日本国民は

とてつもないエネルギーを持っていたということ。

そして、それが同じ方向へと進む危険性である。

これらの闘争でも多数の死者が出ているが一歩間違えれば、

さらに国家が国民を虐殺するような惨劇をまねいていた

可能性があったことを考えるとぞっとする。

 

多くの人々が闘争に敗れたが、その敗北の上に今の日本がある。

現代から振り返って当時のことを批判することは意味がない。

なぜそのような出来事が起こったのかを検証し、歴史から学ばなければならない。

 

本書で戦後史について大まかに理解することはできるが、

そこから先は自分で調べ、考えていかなければならない。

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の言葉通り、

先人たちが歩んだ道を学ぶことは、

この先生きていくうえで必須である。

 

 

 

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