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読書百遍

これまでの「読んだ本の内容を覚えていない」という、悲しい読書からの脱却を目指し、「熟読」「再読」「アウトプット」の読書を目指しています。    (穴があくまで本を読む改題)

森岡毅「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」   アイデアの神様の正体

森岡毅
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」(角川文庫) 森岡毅

 

  

一時期、業績が落ち込んでいたUSJユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を奇跡的なV字回復させたUSJのチーフ・マーケティング・オフィサー、森岡毅氏の初めての著作、その文庫版です。単行本が出てから2年経ちますが、USJの勢いはさらに増しています。その舞台裏と森岡氏のアイデア発想法が明かされます。

 

本書のポイントを3つに絞りました。

  1. イデアの神様を呼ぶ方法「イノベーションフレームワーク

   ・アイデアの神様の正体は確率

   ・「何を必死に考えないといけないのか?」を明確にする

  1. コミットメント

   ・考えつくまで考え抜くこと

   ・ある問題について、地球上でもっとも必死に考えている人のところに、

     イデアの神様は降りてくる

  1. 逆境から絞り出された「革新的なアイデア」の数々

 

森岡氏のアイデアは全て、「イノベーションフレームワーク」と呼ばれるアイデア発想法から生み出され、それは次の4本の柱から成ります。

特に興味深いのはフレームワークです。

これはアイデアを生み出す確率を高めるための発想法で、

最初に「何を必死に考えないといけないのか?」を明確にすることから始めます。

それがわかっていないと、何も手がかりもなくアイデアを探すことになります。

漠然としたところから、考えるべき範囲を限定し、

絞り込んでいくことによって、アイデアに近づいていく、

論理的に答えを導き出すための手法です。

 

さらに注目すべきなのは、コミットメント。

これは「イノベーションフレームワーク」のひとつでもあるのですが、

要するに「良いアイデアを絶対に思いつくぞ!」という気力です。

本書を読んで驚かされるのは、森岡氏の情熱と執念です。

ひたすらパークを歩き回って考え抜く、万策尽きても諦らめない。

 

また、消費者目線を得るため、モンスターハンターのゲームを400時間以上プレイしたといいます。

多忙極まりない森岡氏が貴重な時間をそれにつぎ込むことは、

常考えられない話です。

時間のある学生やひきこもりではないのですから、

その徹底ぶりには頭が下がります。

 

USJのV字回復は

森岡氏のマーケターとしての卓越した分析力、

イデア発想法「イノベーションフレームワーク」、

そして、情熱、執念の「コミットメント」、

この3つが支えたと言えるでしょう。

 

そして、そんな森岡氏から生み出されたアイデアの数々と、

USJのV字回復の舞台裏です。

「金もない、人も足らない、時間もない、でも当て続けなければならない!」、

そんな追い詰められた状態から絞り出されたのが、

後ろ向きに走るコースター

ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」や、

夜になると、パークの多くのエリアをゾンビがゾロゾロ徘徊する

ハロウィーン・ホラー・ナイト」などです。

お金はなくとも、アイデア次第で感動を作れることを実証した森岡氏ですが、

東日本大震災と、それによる自粛ムード、異常気象など

様々な困難が立ちはだかる中での格闘の日々は、手に汗を握ります。

現在ではさらに進化したアトラクションも増えているようですが、

その裏側を知ることで、ますますUSJを楽しむことができるでしょう。

 

私が最後にUSJに行ったのは10年近く前ですが、

もう一度行っておく必要がありそうです。

「胃から冷や汗」を流しながら(面白い表現です)

生み出されたアトラクションも楽しみですし、

森岡氏のアイデア発想の秘密に触れることができるかもしれません。

 

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