読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

読書百遍

これまでの「読んだ本の内容を覚えていない」という、悲しい読書からの脱却を目指し、「熟読」「再読」「アウトプット」の読書を目指しています。    (穴があくまで本を読む改題)

森博嗣「人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか」 抽象的思考と豊かな発想

森博嗣
「人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか」(新潮新書森博嗣

 頭が良い言われる人たちには二種類のタイプがあると思われます。一つはたくさんの知識を持っている人、もう一つは発想が豊かな人です。しかし、知識というのは、今やネットで検索することによって、簡単に得ることができるようになったため、発想というものが非常に価値をもってきました。発想が豊かな人とはどんな人でしょうか。アイデアが豊富な人、普通の人とは違う角度から物事を捉える人、たとえ話が上手な人などもそうでしょうか。おそらく、そういった人たちは抽象的に物事を考えることができる、と言えるかもしれません。

 

ミステリー作家で元大学助教授の森博嗣氏の著作「人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか」は、そういった「抽象的思考について」、「発想する」ということについて、とことん書かれた一冊です。

 

人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか (新潮新書)

人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか (新潮新書)

 

 

私が読んで気になったポイントです。

  • 抽象的に考えるとは物事の本質を掴むことで、見かけのものに惑わされることなく、大事なことはどこにあるのかを探すような思考。(P8)
  • 具体的なものを遠ざけ、問題を一般化することが「抽象化」である。(P14)
  • 「~のような」という表現によって抽象化され、いろいろのものに適用できる可能性が広がる。(P32)
  • 抽象的にものを見ることのメリットは客観視できること、適用できる範囲が広がり、類似したものを連想しやすくなることなどがある。(P36)
  • 抽象的な考え方を育てる手法というものは、具体的にはなく、現代においては考える前にネットで検索できるため抽象的思考が難しい。(P106)
  • 問題解決のためには抽象的思考、論理的思考、具体的な行動の3点がセットでなければいけない。(P166)
  • 知識を得ることは、抽象的思考とは方向性が異なる(P101)
  • 人からどう思われているかを気にすることが自分を縛り追い詰めることになる。自分の思い込みがストレスの主原因を作っている。(P133)

 

私たちが得ている「情報」というものは、そもそも具体的なもので、情報を得るということは抽象的思考とは逆のベクトルを向いています。ですから具体的な情報を得る、知識を得るにしたがって、思考の範囲が限定されていき、それらに拘りすぎると柔軟な思考が阻害されます。経験、常識といったものも、その一因となります。そういったものに囚われないようにするためには、「具体的」と「抽象的」を常に行き来する必要があるでしょう。

また最近ではわからないことは、すぐにネットで検索できてしまいます。そこで得た情報はすぐに役に立つ便利なものですが、それは調べて「選んでいる」だけであって、その過程において「考える」必要がありません。問題解決に向けて最短距離で答えを見つけることも重要ですが、あえて時間をかけ、立ち止まって「もう少し考えてみる」、「物事を俯瞰してみる」、あるいは「ぼんやりと考える時間を持つ」ことも大切であると思います。

私たちは日々、仕事、人間関係、お金、常識、体裁などあらゆるものに縛られて生きています。それらに囚われず自由に楽しく生きるため、苦境に立たされた時に、それを乗り切るためにも、抽象的思考、そして豊かな発想力を身につけたいものです。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村 


読書日記 ブログランキングへ