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読書百遍

これまでの「読んだ本の内容を覚えていない」という、悲しい読書からの脱却を目指し、「熟読」「再読」「アウトプット」の読書を目指しています。    (穴があくまで本を読む改題)

福田和也「ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法」 手書きによる抜き書き

福田和也
 「ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法」(PHPビジネス新書)福田和也

このタイトルならば、本を読むこと、書くことに興味がある人は思わず手を伸ばしてしまうのではないでしょうか。

 

タイトル通り、著者である批評家、評論家の福田和也氏がどのように膨大な量の本や資料を読み、それを執筆につなげているのかについて書かれています。役立つ本の選び方から、効率的な読み方、情報収集と整理、文章上達の方法などプロの知的生産の技術がわかりやすく紹介されています。

 

  私の気になったポイントです。

  • 本を読むときは目的をはっきりさせる。
  • 大事なところは手書きで抜き書きする。
  • 文章上達には楽器を演奏する人がレコードをコピーするように、文章も書き写し、分析すると良い。
  • 書く文章の構造についての認識、自分が何を書きたいのか、書いているのかの認識が重要である。
  • 書くテーマは人のコミュニケーションの中にある。

 

最も興味深いのは「手書きで抜き書きをする」という点です。抜き書きは効率が悪いなどとよく言われますし、最近では英単語の暗記なども、手書きより見て覚える方が良いという話もよく聞きます。しかし、抜き書きすることによる効用は、確かにありそうです。福田氏はギターの練習でのフレーズコピーを例に挙げていますが、私もギターなど楽器を演奏しますので、非常に共感できました。メモとしての抜き書き、文章の書き写しは、これから実践していこうと思います。文章については書き写すだけでなく、その後の分析し構造を理解することか重要であるとのこと。面倒でもひと手間かけてこそ身につくものがありそうです。

 

その他にも、読み方、書き方の上達法ついて具体的に書かれているのですが、むしろ必要なのは技術ではなく認識であると述べられています。つまり、やみくもに読んだり書くだけではいけないということです。読む前、書く前に目的意識をはっきりさせなければならない。目的が明確になってはじめて、その目的の実現に向けて「効率の良い方法を考える」という発想が成立するというのです。たとえば何かを書くために本を読むのならば、その本を資料としてとらえ、それ以外の読み方をしない。この考え方には、はっとさせられました。通常、速読では大事なところだけ読む、それ以外は読まない、ということはありますが、それをさらに進めて、その本の重要なところ、興味があるところであっても目的以外の箇所は読まない、目的以外の読み方をしないのです。これはプロならではの読み方でしょう。一般の人が読書するときにそこまでの効率は求めません。本来の目的から外れたとしても、新しい発見があればそれで満足してしまいます。しかし、プロはそこまで徹底した読み方をしているのだとあらためて感心しました。

 

 また、福田氏の著作にはしばし「サロン」というものが出てきます。初めはぴんと来なかったのですが、そこでの会話の中からアイデアが生まれたり、練られたりするものだそうです。書くテーマは、自分の中にあるのではなく、コミュニケーションの中で引き出される。そこから新しい発想が生まれるのであれば、普段から話すこと、聞くことも、書くことにつなげていくことを意識していくことが大切です。

 

この本に書かれているものは福田氏が実際に執筆活動の中でつく上げてきたものばかりです。プロの仕事術を知るだけでも価値がありますが、私はまずは「抜き書き」から始めてみます。

 

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