中村文則「何もかも憂鬱な夜に」

中村文則「何もかも憂鬱な夜に」(集英社文庫) 小説の冒頭は主人公の古い記憶から始まる。飼っていた小鳥を飲み込んだ蛇の表情。海辺に全裸で死んだ大人の女を、片膝を立てて抱え込んでいる光景。そういった不気味で悲しい記憶が主人公を覆っている。彼は「自分がいずれ何かをやらかすような、そういう不安」を常に抱えて…