読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

読書百遍

これまでの「読んだ本の内容を覚えていない」という、悲しい読書からの脱却を目指し、「熟読」「再読」「アウトプット」の読書を目指しています。 

金城一紀「GO」 世界との距離感

イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領の誕生など、世界を揺るがすニュースが続いている。両国内の世論が二分されていることからも、問題が単純ではないことが見て取れる。グローバリゼーションや技術革新によって世界は画一化されようとすると同時に…

百田尚樹「永遠の0」

百田尚樹「永遠の0」(講談社文庫) 今年は太平洋戦争開戦から75年である。 戦争について知ること、その大切さは自覚しているつもりだが、これまでの私はそこから逃げてきたように思う。私の両親は80代で戦争を記憶している最後の世代だ。私が幼少の頃、父は…

綿矢りさ「ひらいて」

綿矢りさ「ひらいて」(新潮文庫) 綿矢りさ作「ひらいて」を読もうと思ったのは、佐藤優氏が著書の中で紹介していたからである。佐藤優氏が女子高生を主人公とした恋愛小説まで読んでいることには驚かされるが、読み始めてすぐに納得した。後に残る名作とい…

中村文則「掏摸」

中村文則「掏摸」(河出文庫) 子供の頃にテレビで「黄金の指」という映画を観た。スリグループによる鮮やかな犯罪の手口とその内幕を描いた映画だった。おとりの人物がカモフラージュし、主人公が巧みに財布を抜き取ると、すかさず運び役に手渡す。万が一気…

中村文則「何もかも憂鬱な夜に」

中村文則「何もかも憂鬱な夜に」(集英社文庫) 小説の冒頭は主人公の古い記憶から始まる。飼っていた小鳥を飲み込んだ蛇の表情。海辺に全裸で死んだ大人の女を、片膝を立てて抱え込んでいる光景。そういった不気味で悲しい記憶が主人公を覆っている。彼は「…

又吉直樹「火花」

又吉直樹「火花」(文藝春秋) タイトルを「花火」だと勘違いする人は多いだろう。冒頭から花火大会の場面だ。群衆を歓喜させる色とりどりの鮮やかな光と爆音。片や誰も立ち止まらない沿道に置かれたビールケースの上で漫才をする若手漫才師。「花火」はまだ…

「嵐のピクニック」本谷有希子

「嵐のピクニック」 本谷有希子(講談社文庫) 「劇団、本谷有希子」主宰で、劇作家、演出家、小説家、女優、声優、各賞総なめ、芥川賞と、そのキャリアにはこちらが怯んでしまうが、読者が勝手に上げたハードルも、彼女は軽く飛び越えてしまうだろう。 本書…

太宰治「畜犬談」

「畜犬談」太宰治 幼少の頃、近所の公園で段ボールに捨てられている犬を見つけた。小さく薄汚い犬だ。私はそのまま放っておくことができず、寂しそうに鳴く子犬を抱きかかえ、家に帰った。 しかし、父は子犬をみて私を厳しく叱った。 「我が家に犬を飼う余裕…

「桜の樹の下には」梶井基次郎 桜と批判的思考

「桜の樹の下には」梶井基次郎 「桜の樹の下には」 このタイトルからどのような物語を想像するでしょうか。 日本の春を彩る桜の豪華絢爛な美しさ。 また、はかなく散行く様は一層その美しさを引き立てます。 そんな「桜の樹の下」で展開される物語でしょうか…

村上春樹「沈黙」を読んで 人間としての「深み」とは

「沈黙」(文春文庫) 村上春樹 レキシントンの幽霊 (文春文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 1999/10 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 39回 この商品を含むブログ (246件) を見る 小説の読書感想文に挑戦しました。 繰り返し読ん…